【1分で読める社長ラジオ】AIが発達している今、人間に求められることとは?
当社では、「インティメート・マージャーのオープン社長室」と題し、代表である簗島の考えを共有するツールとして、Spotifyで定期的にラジオ配信をしています。 社長が普段思うこと、日常生活での気づきが凝縮されているので、定期的にテキスト化してお届けしていきます。是非ご覧ください!
今回のテーマ:【AIが発達している今、人間に求められることとは?】
簗島:ここ最近ずっとChatGPTが話題で、ジェネレーティブAIのお話とかもしてきて、世の中の考え方が少しずつ分業へ変わってきているなということを痛感していて。特に私のように働き方に興味がある方にとっては、すごく衝撃的なことなんですよね。
一般的にあんまり良い印象を持たれておらず避けられがちの広告なんかがチャットで解決されたりすると、どうなるんでしょうか。すごく表現を適切にいうと、今まであまりこのようなことを考えていなかった人ほど無造作にサービスに質問を投げかけてコンバージョンをしたりしていくようなことが起こったりして、そこから人が得体の知れない場所に接する機会が激減するような気がします。FX系の会社にもよくある話なんですけれども、リスティング広告(検索連動型広告)が一番上に表示されるほどコンバージョンが取れるという話があるんです。それは検索した結果の一番上をクリックして、そのまま比較検討せずに進んでしまうっていう人が、一定数いるということなんですよね。
例えば、欲しい情報が1行目に書いてあるのであれば、2行目、3行目に何が書いてあるか確認せずに、1行目の情報だけで進んでいってしまうっていう人たちがいるんですね。飛びついてしまうというか、まあ、猪突猛進的と言えるかもしれないですね。そのような、情報をきちんと確認せずに飛びつく人というのは意外と多いんです。その人たちの存在が、ある種のプロダクトやサービスを支えているとも言えますね。ですがそのような人達で成り立っているプロダクトやサービスって一定数あるんですよね。
ただ、それで良いのだろうかと考えると、ちょっと釈然としない面もあるんですよね。人が自動的におすすめされる方向に流れてしまうと、なんというか、多様性が失われてしまうような気がするんです。FXの広告などで、1クリック5000円ものお金を出してでもトップに表示されたい新規サービスもあるんですよ。ただ、それは、「後から取り戻せばいい」という金銭で実現できる方法なんですよね。ということは、お金を使って結果を得られないということは、つまり広告が存在しないということと同義というわけです。言い換えると、広告が存在するということは、お金を投じて何かを挽回できるというサービスがあるということですね。ですから、広告が必要かどうかという議論が急増したというか、多くなったのかもしれません。
しかも、その影響で、自社のサービスが全く売れなくなるといった事態に陥る人も出てくるかもしれないなんて、ちょっと考えただけで震えますよね。最終的にはサーチエンジンさえ存在しなくなるかもしれません。そうなったら、広告が消えるだけでなく、人々から何かを知ってもらう手段もなくなりますよね。もし、人が何も知らなくなったら、新しいサービスが生まれるきっかけもなくなりますし、さらに、市場の独占問題も出てきます。一つのものが市場の大部分を占めてしまうと、競争がなくなり、結果として物の価格が高騰します。競争がなくなってしまうと、確かに物の価格はどんどん上がっていきますよね。だから、広告がなくなってしまうと、メディアを収益化する手段もなくなりますし、新規の商品やサービスを提供する場所もなくなります。そして、新しい発想や観念を取り入れて何かを作り出したとしても、その存在を知らせる手段がなくなってしまいます。
そのような観点でいくと、オフラインでは良くとも、オンライン上での工夫が結構難しくなって不都合が生じるのではないかという気は一定以上しますけどね。 ビジュアルな部分でインスタグラムやTikTokみたいなところは残る可能性がありますが、それは広告とは違いますよね。これって、よく言うフィルターバブルと呼ばれる現象(インターネット上の検索サイトが提供するアルゴリズムが、インターネット利用者の検索履歴やクリック履歴などを分析して、利用者の思想や行動特性に合わせた情報を作為的に表示するため自ずと興味関心があるもの以外に触れる機会を失っていること)と似ています。ユーザーがあまりにもレコメンドされた世界になると、新たな情報に触れにくくなりますよね。ビジュアル的な部分についても、過度にレコメンドされすぎると、情報量が多くて新しいものに触れにくくなるんです。
最近こういうようなことについて色々な場所でよく考えるのですが、人とAIの分業でいくと、ランダム性を与える人らしいところと、ランダムのところから整えるっていうAIで出来る作業を分ける、というような感じですよね。例えるなら、植物も人が植えないと生えないけれど、種を撒いて野菜にするところの工程は、多分、機械が得意なんですよね。なので種や旗を置くというか、「この辺りに石油が埋まってそうだ」みたいな場所は恐らく人がやるべきで、そこの石油を掘るという工程は、もう人間がスコップでガタガタやるんじゃなくて、もう機械でやった方がいいというような。「偶発性」とかいう言葉になると、なんかおしゃべりは重要だというようなことになってしまいますけれども、どちらかというとランダムというか、その機械の発地点を教える仕事というのはずっと人がやらなければいけないんだなという感じはありますよね。出発地点を知るというところをなぜ機械ができないかというと、AIに世の中の全ての情報を入れ込むことができないっていうところに結局は帰着されます。実際それはデータベース化されてない情報が出力される可能性が高いっていう話なんですよね。
要は、 あの人の頭にあるもの全部文字起こししてデータベース化している人や、それをディスクローズ(情報開示)している人とかであれば人なんて存在しないので、AIがリーチできない場所にある情報を持ってる可能性があるのは人だけなんですよね。だからこそ、AIがリーチできない情報が多ければ、人が情報を探しに行く必要が出てくるわけです。 また、誰もデータベース化していない情報や新商品等の学習データに入っていないものについては、人間が機械に教えてあげる必要があります。AIの初期値を設定するというのも、人間の重要な仕事の一部ですね。 AIの初期値を定義して動かすために、人が頑張るという風な構造にも若干見えちゃうんですが、そういう感じの機械が持っていないであろう情報は人が与えてあげるべきで、人間との会話が必要になるのは、そういう部分もあるからです。競馬の予想でも、新聞に掲載していない情報を人間が持っていることだってありますよね。
なので人とのコミュニケーションはとても必要で、競馬で例えると、前回のレースではある馬がムチを落とし、結果的に4着になってしまった。だけどもしムチを落とさなかったら、1位になっていただろうな、というような情報を持っているのは特定の「人」だけです。なので「この馬が一番の本命だと思われる」という情報を見つけた時に、じゃあ1着を予想して単勝を買うべきなのか、その馬をベースに組み合わせを購入しなければならないのか、それとも3連単を購入すべきなのか。あるいは1万円から最も良い結果を引き出すための購入方法を見つけるべきなのか。それらの選択は、間違いなく機械が適していると思います。データベースに存在しないものを探し出す、つまり検索では引っかからないものを探し出す、という感じですね。
こうなると、人がやるべき仕事というのは、データベースにないものをいかにして取ってくるか、要は検索に引っかからないようなことを行うというような感じなんですよね。それはもちろん何かの事象に対して解釈するとかもそうですし、あとは世の中のギャップとかを見つけるに近いですけれども、新規事業のように今まで存在していないもの、今まで存在したことがない事象というのに向き合うとかいうこともそうですね。基本的には、最適化をするとエアポケット(飛行機が急激に下降する空域のこと)のように負が出来上がるので、それを負だと定義することは、人がやらなければならない。それで言うと、マニアックとか好きとかっていう人の目線が、もしかしたらすごく大事なのかもしれませんね。
「仮説」と言葉を立てる時にも、「データを見て仮説を立てよう」ということを言う人が時々いるのですが、データを見て仮説を立てるのであればすごく正しくともデータの中から傾向を見つけて仮説を立てようというと、それは機械が得意だって思っちゃったりします。反対に、「データに存在してないものを見つけよう」ということは、絶対機械ではできないことなので、自分の頭とデータのギャップのところから仮説を見つけられる人は、機械よりも強い仮説を出せる人なんですよね。 ですのでやはり、相手が持っている情報と自分が持っている情報のギャップの中を定義できて、そのギャップの中から価値を生み出すことが出来るというのが、人間の役割に1番近いなとつくづく感じますね。
AIが日に日に進化し、その影響が大きく広がっていく中で、人間がやるべきことに集中していくための分業について考えることは、ますます今後重要になってきますよね。改めて今、AIが発達する中で人間に求められていることや人間だけにできること、そしてその重要性についてしっかりと考えて行動したいですね。
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