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コロナ禍を超えて生成AI時代の働き方に対応するために会社ができること

新型コロナウィルスも5類感染症へと変更され、コロナ前の日常が戻りつつあります。それに伴い、社員に対して出社を求める企業が増えています。しかし一方で、「リモートワークによって子育てや介護と仕事が両立できていたのに、今更出社が原則と言われても困る」と、転職を考える人が増えてきたと報じられています。今回は、リモートワークや生成AIの普及など、最近の働き方の変化への対応について考えてみます。

リモートワーク制度の導入率は増えているが実施頻度は減っている

パーソルキャリアが2023年11月に実施した調査によれば、リモートワーク制度を導入している企業の割合は新型コロナ5類移行前の57.4%から66.2%とむしろ増えています。また、リモートワーク制度を導入している企業の8割以上が今後も継続したいと考えており、未導入の企業でも約2割が導入を検討しています。

一方で、リモートワークの平均実施頻度については週1回、週2回をあわせて63.6%となりました。リモートワーク制度自体を廃止するのではなく、「週の半分以上は出社するように」という方針に変わった企業が多い様子がうかがえます。

リモートワーク実施者の9割はリモートワークを継続したい

社員に対して出社を求める企業の多くが理由に挙げるのが、「生産性の低下」と「コミュニケーション不足」ですが、リモートワークをしている社員の見方とは少し違うようです。

日経BP総合研究所イノベーションICTラボでは、2020年4月から定期的に「ワークスタイルに関する意識調査」を実施しています。最新の2024年4月のデータでは、リモートワークを実施している社員のうち、リモートワークで生産性が「下がった」とする人の割合は34.9%に対し、「変わらないもしくは上がった」とする人が65.1%とこちらの方が多くなっています。

実際、リモートワークになって移動時間がなくなることで、1日にこなせるミーティングや商談の数は増えます。一方で、紙の書類を扱う業務、特に捺印や発送、受領が必要な業務はオフィスに出社しなくては難しいでしょう。業務によってリモートワークに向き不向きがあり一概には言えませんが、自宅から職場までの移動時間も含めて考えると、「生産性が下がるから出社が原則」と言われて納得いかない人が多いのは頷けます。

「コミュニケーションの不足」についてはどうでしょうか。同じオフィスにいれば相手に話しかけやすい、ちょっとした雑談がきっかけとなり議論が深まるといったことがありますが、リモートで使うオンライン会議やチャットでは用がないとコミュニケーションが始まりません。業務上で質問したいことがあっても、相手の今の状況がわからなくては敷居が高く、特に若手社員の育成では課題となっています。

パーソルキャリアの調査でも、リモートワーク実施者の35.0%がリモートワークのデメリットとして「コミュニケーションの量・質の低下」を挙げています。コミュニケーション不足を解消するための工夫として、過去にはバーチャルオフィスの導入したり、全員がオフィスに集まる日を設けるなどのさまざまな工夫が行われています。

そんな課題がありつつも、実際に現在リモートワークをしている人の9割以上が、今後もリモートワークを継続したいと考えています。そして、リモートワークができなくなった場合は、65.4%の人が転職を検討すると回答しています。リモートワークという働き方を経験した人の多くが、リモートワークがない働き方には戻れないと感じています。

「リモート可」とフルリモートは違う

リモートワークがしづらくなったことで転職を考える人は、当然、転職時に「リモートワーク制度がある」ことを条件として転職活動をします。そして当然ですが、制度があるだけでなく、どのくらいの頻度でリモートワークが可能なのかを確認します。特に、地方移住を前提としている人であればフルリモートで働けるかは就業の決め手となるでしょう。

一方で、採用する側の視点で考えてみると、「リモート可」と「フルリモート」の間、そしてフルリモートだとしても必要時には出社可能なのか、地方移住で物理的に出社不可能なのかには大きな違いがあるように思います。

例えば営業職であれば、クライアントから呼び出しがあれば訪問せざるを得ないことがあります。不始末のお詫びであればリモートで済ませようとして怒りに油を注いでしまうこともあるでしょう。バックオフィス業務であれば、銀行の担当者の訪問に対応するためには出社せざるを得ません。役員であれば株主総会に出席するためには本社に近い会場にいる必要があります。災害時などの非常時には誰かが会社に出社して状況を確認しなくてはいけません。

概ね、役職や責任が伴う肩書きがつくと、いざという時出社が不可能なフルリモートでは対応しきれないこともあるように思います。子育てや介護のために地方に移住してフルリモートで働くという働き方を選択するのは個人の自由です。しかし、会社から見ると、フルリモートの人がいくらがんばって真面目に働いていても、担える役割に制限がある以上、一定以上の役職や権限を与えることは難しいかもしれません。

「選べる環境」を整えつつ、出社にメリットを感じてもらいたい

リモートワークについての考え方は会社によって異なると思います。私たちインティメート・マージャーでは、働く場所は社員が選択するものと考えています。同時に、会社としては社員がオフィスの近くに住み、無理のない範囲で出社するハイブリッドワークを選択してもらうのが望ましいと考えており、そのような働き方を選んでもらいやすい施策を実施しています。

まず、オフィスの居心地をよくすることは大前提です。フリードリンクの提供やトレーニングスペースの設置など、出社して仕事をする人にはメリットを享受してもらえるようにしています。

また、福利厚生制度としては、「近隣住宅手当」を設けています。本社(東京都港区)に徒歩で来られる範囲(社内規定内)、もしくは3駅以内に居住している社員に住宅補助を支給しています。この制度は、特に地方から出てきた新入社員が孤立して心を病むことがないように、なるべく集まりやすい場所に住めるようにしたいというところから始まっています。同時に、近隣住宅手当を受給している社員には、深夜や業務時間外でも、会社のセコムがなった時や計画外の停電が発生した時、災害時などの緊急時には出社をお願いすることもあります。

何がなんでも出社することに意味があるとは考えていません。雨の日や雪の日には、無理に出社せず家で仕事をすればいいと思っています。そのために、入社時に在宅勤務支度金を支給し、月1日以上在宅勤務をした場合には在宅勤務手当を支給しています。在宅でも生産性を下げないための機器への投資や、在宅勤務でかかる光熱費、通信費などを会社が負担することで、リモートでも出社でも、好きな方を選びやすくしています。

また、ワーケーション制度や里帰り補助制度で、自宅を離れた場所で働きたいという人も支援しています。ワーケーション制度は、費用は自腹ですが利用頻度に制限はなく、個別の業務状況を勘案して上長が承認することで利用が可能です。里帰り補助制度は、帰省先で会社の営業活動をして顧客を獲得した社員に、年2回まで帰省費用の一部を出張費として補助する制度です。これは、地方出身の若手社員の「年末年始の帰省で給料の3割が飛んでいく」という言葉がきっかけで生まれた制度です。この制度を利用することで、社員は地元に住まなくても仕事として帰省ができるようになり、地域のことを知っている人が営業することで会社も助かる仕組みです。こうした制度を活用することで、移住しなくても地元が近くなります。

「AIと共に働く」という働き方を身につける

最近話題となっているもう一つの働き方の変化といえば、生成AIへの対応です。IBMが28カ国3000人の経営幹部を対象に実施した調査結果によれば、40%の従業員がAIの導入に伴いリスキリングを必要とするとされています。

私たちは、業務効率化と生産性向上のためには、単に生成AIの使い方を覚えるだけでなく、AIと人間がうまく仕事を分業するためのスキルを身につける必要があると考えています。より生産性の高い環境で社員が働けるようにすることが、働き方の自由度を上げることにもつながります。そのための施策として生成AIサービスを利用する際にライセンス料金の一部を会社が補助する「ジェネレーティブAI利用補助制度」を導入しており、多くの社員が利用しています。

最近の働き方の変化に対応するためのインティメート・マージャーの取り組みを紹介させていただきました。社員が居心地良く、楽しく働きながら、お客様に付加価値を高めたサービスを提供するために、これからも制度や取り組みを見直していきます。こんな会社で働いてみたいと思った方は、ぜひこちらからご連絡ください。

<参照情報>

フルリモート禁止で転職…父親社員たちの苦悩「子育てと両立できない」
https://www.businessinsider.jp/post-286831

転職サービス「doda」、新型コロナ5類移行から半年の「リモートワーク」の“リアル”を調査(パーソルキャリア)
https://www.persol-career.co.jp/newsroom/news/research/2023/20231129_1260/

テレワーク実施率に異変、日本人の働き方は新たな「第3フェーズ」突入へ(日経BP総合研究所イノベーションICTラボ)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02854/052900001/

AI導入で労働者の40%はリスキリングが必要--IBM調査(CNET JAPAN)
https://japan.cnet.com/article/35208018/

業務効率の向上を目的としたリスキリングを支援する「ジェネレーティブAI利用補助制度」を導入 〜人間とAIが仕事を分業する新時代の働き方へ〜
https://corp.intimatemerger.com/news/20230307_aireskilling/

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