就活生のSNS活用についてデータでまとめてみた!
最近の学生は就活にもSNSを活用していると言われています。しかし、新卒採用の一環としてSNSによる情報発信を活用している企業の割合はまだ少ないようです。その背景には、「SNS=失敗すると炎上」というネガティブなイメージや、効果がよくわからない、そもそも何を発信すればいいのかわからないといったことがあるのではないでしょうか。
とはいえ、少子化により年々新卒採用環境が厳しくなっている昨今、SNSの活用は避けて通れないと言えます。今回は、就活生がSNSで企業の何を見ているのか、どんな情報が求められているのか、データで紹介します。
■6割近くの学生がSNSを就活に利用
まずそもそも、学生は就職活動で何を利用して情報収集しているのでしょうか。Suneightが2025年卒の就活生を対象に実施した調査によると、就職活動の情報収集に最も多く利用されているのは企業の採用サイト、就活総合サイト、SNSの順となっており、半数の学生がSNSを就活に活用しているという結果になりました。
i-Plugが2025年卒学生を対象に2024年1月に実施した調査でも、59.6%の学生が就活でSNSを活用して情報収集を実施していると回答しています。利用している学生の55.4%はX(旧Twitter)などの文章投稿型のSNSを活用しており、次いでInstagramなどの写真投稿型SNS(51.1%)、YouTubeやTikTokなどの動画投稿型SNS(40.7%)と続きます。
上記の結果からは、一人の学生が複数のSNSを活用していることがわかります。ではその中で最も参考にされているSNSはなんでしょうか。マーキュリーが2024年度の新入社員を対象に実施した調査では、就活中に最も参考にしたSNSはYouTubeで、2位のX(旧Twitter)に比べて6.3ポイント差をつけています。
■採用サイトで定番の情報でも、SNSから収集
実際に、就活ではSNSをどのように使っているのでしょうか。マンパワーグループが20代の社会人1年めから3年めまでの人を対象に、就活でのX(旧Twitter)、Instagram、Lineの活用方法を複数回答で聞いたところ、就活生同士やOB・OGとのつながりを抑えて、いずれのSNSでも企業の情報収集がトップとなっていました。
具体的にSNSを通して集めていた情報としては、前出のマーキュリーの調査によると、仕事内容や事業内容の他に、社内イベントの様子やオフィス紹介などの社内の雰囲気が上位に上がっています。
また、Suneightの調査によれば、SNSで就活に関する情報を行う際に見たコンテンツとしては「職場や施設紹介」「事業紹介」の他、「社員の1日のスケジュール」「社員のインタビュー」「社員紹介」などが上位に挙げられています。どれも企業の採用サイトでも定番のコンテンツではありますが、より身近なメディアであるSNSから情報を得ている様子がうかがえます。
■情報収集期と意思決定期で異なるSNSの使い方
業界研究や企業研究に注力している就活前半と、ある程度候補を絞り込み内定も出始めて、実際にどの企業を選ぶかを決める就活終盤で、SNSの使い方の違いを調べているのがNo Companyが実施した調査です。2025年3月卒の学生を対象に、就活前半の情報収集期(2023年6月)と就活終盤の意思決定期(2024年3月)に調査を行っています。
就活においてSNSでの情報収集を行う人の割合と、企業の情報をSNSで検索する人の割合は、いずれも意思決定期の方がわずかですが多くなっています。
そして興味深いのが、SNS上の情報が選考や入社意向に影響する度合いです。意思決定期の調査では、約8割がSNS上の企業情報によって選考や入社の意向が「上がった」としており、これは情報収集期に比べると14.9ポイント増えています。就活終盤の選考や内定承諾などの重要な局面でもSNSによる情報収集が活用されていることがうかがえます。
この調査では、企業に対して就活情報をどのメディアで発信して欲しいかという質問もしています。情報収集期に比べて意思決定期で、YouTubeが2.5ポイント(42.7%→45.2%)、TikTokが9.8ポイント(15.4%→25.2%)増えており、動画へのニーズが増えているのが目立ちます。
前述の通り、就活中に最も参考にしたSNSの第1位はYouTubeだったこととあわせると、就活終盤の意思決定のために、より視覚的で詳細な情報を集めるための手段として動画を参考にしているようすが伺えます。
■TikTokの意外な効果
YouTubeはともかく、TikTokと就活はあまり結びつかない人も多いかもしれません。しかし、リソースクリエーションによる就職活動中の学生を対象にした調査では、就活中にTikTokで社名を検索したことがある学生は35.2%と3分の1以上を占めています。
Suneightが2024年卒就活生を対象にした調査では、TikTokを利用している就活生のうち企業の動画を見たことがある人の割合は64.9%にのぼり、その6割はそれがきっかけで企業に興味を持ったことがあるとしています。さらに、TikTokで企業に興味を持った学生の半数以上は実際にエントリーをしたことがあると解答しています。
また、TikTokを利用している就活生のうち、お気に入りの企業のTikTokアカウントがあればフォローして動画を視聴したい割合は7割以上に達しています。
フォローしたいコンテンツとしては実際の仕事の様子、社員のコミュケーションの様子などが上位で、いずれも日常業務の延長で気軽にスマホで撮影することが可能なコンテンツとなっています。TikTokの活用により、比較的低コストで就活生とのエンゲージメントを強められる可能性があります。
■就活サイトのコンテンツをSNSに載せることから始めよう
一方で、企業はどの程度新卒採用にSNSを活用しているのでしょうか。i-plugが企業を対象に実施した調査によると、新卒活用の一環としてSNSを活用していると回答した企業の割合は28.6%にとどまっています。活用しているという企業であっても、59.5%はLINEやSMSなどのメッセージアプリをあげており、実際には学生との個別のやりとりに利用しているだけのケースも含まれると推測されます。また、SNSを活用している企業でも、採用活動に特に影響がなかったとする企業が45.9%近くと半数を占めており、効果が把握しきれていないことがうかがえます。
しかしここまで見てきたように、さまざまなデータからは、就活生は情報収集にSNSを活用しており、しかもSNSで得た情報が選考や内定などのアクションにつながっていることがうかがえます。また、意識としても就活を進める上で9割以上の就活生が企業のSNSアカウントは必要だと考えており、「社員の雰囲気が一番よくわかる媒体だから」「ホームページよりも気軽に情報を得ることができるから」という声が多数上がっています。
少子化により学生の減少が進み、新卒採用環境はこれからますます厳しくなる中、学生との接点を増やすためにも、SNSの活用に取り組んでいくことは課題だと考えられます。SNS専用に目新しいコンテンツを用意しなくても、採用サイトに載せていたコンテンツをSNSの特性に合わせて編集し、掲載していくことから始めれば、学生の目に止まってエントリーを促したり、意思決定を後押しすることは十分に期待できそうです。
<参考情報>
【始まる冬のインターン、25卒の情報源は?】半数が情報収集において「SNS」を を活用(株式会社Suneight)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000076476.html
半数以上の就活生が就職活動でSNSを活用する一方、企業のSNSの活用率は約3割 ( 株式会社i-plug)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000113.000041771.html
新卒就活で最も利用されたSNSは「Twitter(現X)」 昨今の学生の就活方法とは?(マンパワーグループ)
https://www.manpowergroup.jp/client/jinji/240311.html
【株式会社マーキュリー】就職活動に関するSNS利用状況アンケート結果 ~Z世代!24卒就活生のトレンドは引き続きYouTube・Instagram~(株式会社マーキュリー) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000120.000098241.html
【24卒の就活におけるSNS事情を調査!】約4人に1人が「TikTok」を活用 そのうちの半数以上がTikTokをきっかけに、エントリー経験あり(株式会社Suneight)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000076476.html
No Company、25卒就活生の「情報収集期」と「意思決定期」におけるSNS活用実態を調査。Z世代はSNSの情報で入社意向度が変化(株式会社No Company)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000089446.html
【559名に調査】就活生の9割が企業のSNSアカウントは必要と回答 〜選考において「社員の雰囲気」を重要視する傾向に~(株式会社リソースクリエイション)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000035.000087010.html
24卒就活生の約6割が、「TikTok」がきっかけで企業に興味、そのうち半数以上が実際にエントリーも(株式会社Suneight)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000076476.html