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AIにより占いはどう変わっていくのか【データ×占い】

パンデミックの長期化・地政学リスクの高まりにより、世界の先行きはますます不透明。今後も何がどうなるのやらです。
そんな人々の不安な心を表しているのか、最近のベストセラーは『未来予測本』が多かったり、とある占いアプリの利用者数は5年間で18倍も増えているとか。
占いは古くから存在していますが、近年日本ではエンタメコンテンツとしてAI化が進んでいる印象も。
技術発展により、今後占いはどう変化していくのか?についてまとめてみました。

占いの起源と歴史

昔の人は何をどう占っていたのでしょうか。

古代ギリシャやローマ・日本では、生贄の動物を見る太占という占いをしていたとか。
その方法は、生贄の動物の肝臓の色を見たり、熱した細い金属棒で動物の肩甲骨や亀の甲羅を焼き、そのひびの入り方で占うというもの。
占いの用途は限定的で、生贄となった動物の栄養状態を見ることで、都市建設と農作物の育成の参考とされていたそうです。(けっこう科学的な話)

そこから占いは発展していき、8世紀の平安時代には陰陽師が誕生。

陰陽師の占いは、中国の陰陽五行の思想に基づき、日本独自に発展したものだそう。その影響力は安倍晴明の登場で強くなっていき、政治や戦の方針を決める重要な指標として用いられていました。

江戸時代中期には、四柱推命が中国から伝わり、その後徐々にエンタメの要素が強くなり、庶民の私生活の悩み等日常の相談に使われるように。

占いといえばコレなイメージですが、
日本の水晶占いは小さい水晶を投げて占うのが一般的だそう

占いの種類

占いの種類はたくさんありますが、代表的なものをいくつかご紹介。

西洋占星術

西洋諸国で発達してきた占星術の体系のこと。東洋またはその他の占星術と区別する意味で、西洋占星術と称されています。

西洋占星術では、占う対象に影響を及ぼすとされている諸天体が、生年月日や時刻にどの位置にあったのかを「ホロスコープ」(各個人を占うための天体の配置図)に描き出し、それを解釈する形で占っていきます。

12の星座と、太陽、月、あるいは太陽系の惑星の動きを基に性格や才能、相性や人間関係などを占断。また、人が誕生した瞬間に空にあった天体を使って、その人の運命を知るという方法もとるそう。

インド占星術

インド占星術は、ヨガやアーユルヴェーダと同じように、インドの伝統思想「ヴェーダ」の知識体系のひとつ。
インドでは、占いは論理的で数学的な技法を使った科学として扱われ、占星術を学ぶ国家機関もあるほど。日常生活にもビジネスにも国家運営にも重宝されています。
ある天体の座標を基準として30度ずつ12分割する方法でバースチャートを出し、そこから個性や運命などを読み解き、最善の人生を目指すことから、光の科学や運命の学問とも呼ばれているそう。

東洋占星術

平安時代、空海をはじめとする留学僧らにより、密教の一分野として 日本へもたらされた占星術の一種。

その内容は、インド占星術・道教由来の天体神信仰・陰陽五行説等が習合したものだとか。

自然の周期に着目した占いであることは西洋占星術も東洋占星術も同じですが、東洋占星術は惑星の動きを中心に考えます。
星座を見るのではなく、惑星の様子を観察しながら、作物の出来・自然災害・流行病・皇帝の性格や治世を占ってきました。

タロット

タロットカードの起源については諸説あり、はっきりとわかっていません。

現存する最も古いタロット・カードは、15世紀前半にイタリアのミラノで制作されたもので、この時代のタロット・カードは、占いではなく「ゲーム」のためのツールだったそうです。

タロットがポピュラーになったのは、1970年代から80年代にかけての英米を中心とした「ニューエイジ」と呼ばれるスピリチュアル・ムーヴメント。
それ以降、スピリチュアリティ探究や心理カウンセリング的なツールとして用いる人々が一気に増加。

日本でも1970年代から80年代にかけてタロットの入門書が多数出版され、一般人にも多く認知されていきました。

占星術に用いるホロスコープ

占いと科学とデータ

近代の自然科学は、占星術を否定するところから出発しています。
そのため、科学者にとって占星術は、超常現象の類よりもずっと認め難く、拒絶意識が強いもの。

その占星術にかかわる論文を、1974年に米国の生物学者であるドナルド・A・ウィンザー氏が投稿し、世界をざわつかせるという出来事が。
その論文の表題はズバリ「分子生物学者はおひつじ座で生まれている(Molecular biologists come of age in Aries)」。
あろうことか、「生まれた日によって人間の性格や職業の傾向が決まる」という占星術的主張を科学者が証明しようとしたのです。
ウィンザー氏は分子生物学者の生年月日のデータを集め、各人が生まれた星座を算出、統計学的手法によって何座生まれが多いか調査。その結果、「おひつじ座生まれが多い」と結論付けました。
この論文は世界で最も権威ある科学雑誌の一つ、「ネイチャー(Nature)」に掲載。
長く当たり前とされてきた価値観を、データにより覆す。
科学に携わる人にとって、とても大きな出来事となりました。

英国科学雑誌、ネイチャー。
2017年に日本の科学研究の失速を取り上げた際の表紙

占いは統計学?

統計学は、集団現象を観察し分析する方法を研究する学問。
正確なデータに基づき、傾向や性質を推定しようというものです。

データ活用、AI化に相性がよい統計学ですが、占いは統計学なのでしょうか?

この問いに対しては、占い師の中でも見解が分かれるそう。

例えば手相や人相は、膨大な経験則から因果関係を見極めていくもの。
そのため、データを蓄積した上で傾向や性質を推定する、という側面はありますが、手相や人相は変化していき、どう変化していくか?ははっきりと分かりません。また、手相・人相の変化とその人の人生の相関をデータとして蓄積させていくのは困難であり、あくまでも占いは予測のため、具体的な数値等で結果を出すのは不可能です。

また、同じく統計学に近いとされるのは占星術ですが、ホロスコープ(占星術における各個人を占うための天体の配置図)を一人一人に作ってする占星術である為、全く同じホロスコープが出来ることはなく、統計学的データを取る事は不可能と言われています。

考えが分かれてしまう理由の一つには、『何を統計学とするのか?』という定義の違いが。

一般的に占いが非科学的なものとされるのに対して、データ分析は統計学的手法に基づいて結果を出している点が異なります。

データ分析の結果は、当事者たちの目の前にあるデータというファクト、事実を根拠とした「裏付け」になりえますが、占いの結果は、占い師個人の知識や人柄などから「後押し」にはなってくれても、「裏付け」とまで言い切るのは難しいですよね。

現代の占星術では、ホロスコープを作るための計算にコンピュータが用いられているそうで、統計学なのか?はさておき、占いをある程度自動化することはできそうですね。

人間 VS AI

AIと人、どちらに相談したいか?

占い師はAIにとって代わられてしまうのか?の答えは、人はなぜ占いをするのか?の答えによる気がしています。

色々な意見はありますが、人が占いをする理由の多くは、『後押し』がほしいからではないでしょうか。

占いは、どの様な答えが顧客を最も満足させられるかに応じてデータを取捨選択し、回答の方向性を恣意的に調整する技術こそが要。
いわゆる『AI占い師』は技術的には可能で、データ解析はベテラン占い師よりも正確かもしれません。
ですが、分析のその先にある、具体的な解釈や行動指針の提案をするのは困難かつ、占い結果を相手が満足するよう伝えるところに大きなハードルがあるのではないかと思います。

「まずは話を聞いてもらいたい、気にかけてもらいたい」
「自分にダメなところがあっても頭ごなしに否定するのではなく、自分の性格に合わせた話し方をしてほしい」

占い師は技術を使って物事の流れを読み解く人。
「あなたは今こういう流れ、こういうポイントにいるんですよ」という自分の現在地を客観的に教えてくれ、その上で進むべき方向性を指南してくれる。それこそが占い師の仕事。
実際のAIの研究でも、追及しているのは正確さではなく、いかに人の心に寄り添えるか?だそう。
AIが人と同様に心を持たない限り、占い師のお仕事はなくならそうですね。
他の職業と同様、人がうまく技術を活用していくことが最良ではないかと思います。

まとめ

生活の中でデータがどのように使われているのか?という一例で、今回は占いとAI・データの関係性についてまとめてみました。

身近なデータ活用の事例を、今後も発信していきます。ではまた!

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