ネトフリのヒット作品を事例にエンタメ業界におけるデータ活用を紹介【データ×エンタメ】
休日の過ごし方として、今や多くの人が時間を費やしているサブクスサービスでの映画やドラマ観賞。
コロナにより持て余したおうち時間を、エンタメ観賞をして過ごすことにも慣れてきました。自分の好みに合う作品がレコメンドされ、ハズレも少ないので、時間がある日はエンドレスで見てしまいますよね。
Netflix等昨今のエンタメ企業のヒット作の裏にも、ビックデータとデータサイエンティストの存在が。
今回はエンタメ業界におけるデータ活用についてまとめてみました。
Netflixが急成長した理由
米国最大の動画配信サービス、Netflix。
つい10数年前まではDVDの宅配レンタル企業でしたが、今や巨大エンタメ企業としての地位を確立しています。2018年5月には、Netflixの時価総額が一時的にディズニーを超えたとか。
おなじみのこのアイコン
同社バイスプレジデントのTodd Yellin氏が『ハリウッドとシリコンバレーの融合』と形容するとおり、Netflixは最先端のテクノロジー企業。データとテクノロジーこそ、Netflix社の成功要因です。
ストリーミング配信では、既存のコンテンツに加えて独占配信やオリジナル作品を扱っており、快適な視聴体験は、優秀なデータサイエンティストによって開発されたアルゴリズムが支えています。
膨大なデータを活用する優れた機能
人々を惹きつけるNetflixの魅力の背後には、ビッグデータが存在します。膨大なユーザーデータを活用し、もっとも注力しているのがレコメンデーション機能。再生される作品のおよそ80%は検索ではなく、レコメンデーションを経由して選択された作品だそうです。
ストリーミングサービスへの移行によって取得できる視聴データを増やし、レコメンド機能の改善をさらに加速。視聴した作品や場所、視聴日時、利用したデバイス、検索やページのスクロールの動作を細かくトラッキングし、膨大なユーザーデータを複数のアルゴリズムによって処理。トップページに表示する作品やジャンル、それらの並び順を決定しているのだとか。
NetflixTOP画面
トップページに出てくるおススメは、ユーザーの視聴データや作品評価など、複数のデータにもとづいて選ばれています。作品の配置や表示される作品のアートワーク画像もユーザーに合わせて、カスタマイズされています。
確かに、ユーザーによりトップ画面に出てくる作品は全く異なりますよね。ストレスなく自分の趣向に合った作品を選ぶことができる点、なんとも快適です。
ヒット作はビックデータにより生まれている
ビックデータが使われているのは、レコメンド機能だけではありません。 Netflixの急成長を支えたのは、データを活用し制作されたオリジナルコンテンツ。中でも分岐点となったのが、「ハウス・オブ・カード」という作品のリメイクだったそうです。
Netflixの成長を支えた作品「ハウス・オブ・カード」
2018年、 NetflixのCEOサランドスは当時を振り返ってこう話したそう。「われわれにとって未来とは未知の世界を開拓することです。ここで役立つのがビッグデータです。新しいオリジナルドラマを制作しようというとき、ビッグデータを活用すれば適任の監督・俳優を割り出せるし、潜在的視聴者の人数も割り出せるんです。その1回目が『ハウス・オブ・カード』でした」
その話の通り、この作品はすべてデータを基に制作されました。
データによれば、本作品の監督フィンチャーと主演のケヴィン・スペイシーには興味深い共通項があり、フィンチャー監督作品を1つ見た視聴者はフィンチャー監督作品をすべて見たがり、スペイシー出演作品を1つ見た視聴者はスペイシー出演作品をすべて見たがる傾向があったそう。
また、フィンチャーとスペイシーのファンはそろって『ハウス・オブ・カード』に興味を持っていることがデータから分かり、フィンチャー自身もこの作品をリメイクしたいと考えていたとのこと。
もともと長編映画の作品作りが主流だったフィンチャーにとって、ドラマの制作は挑戦でもあったそうですが、データが示す根拠を基盤に制作を引き受けたのです。
制作過程においても、ベテランプロデューサーの直感や過去の常識に縛られず、ビッグデータを信じ俳優を選ぶことを基本にし、海外展開においてもビッグデータを全面活用したとのこと。
人間が持つクリエイティビティとテクノロジーが融合した素晴らしい作品となりました。
エンタメ業界におけるデータ活用の今後
映画制作のみならず、音楽業界でもデータ活用の動きが加速。以前はCDセールスのみで構成されていたヒットチャートですが、近年様々なデジタルサービスの登場で、ユーザーの好みや動向は多様化し、CDセールスのみでヒット曲を把握することは困難になりました。ストリーミングやYouTubeといったデジタルサービスが消費の主流になったことで、音楽にまつわるデータ分析の重要性も飛躍的に向上しています。
現在ではエンタメに特化したマーケティングツールや、データサイエンティストも誕生し、データ活用の動きは益々広がっています。時代とともに変化していくエンタメ業界だからこそ、データに基づき意思決定を行うデータドリブンとエンタメ業界は親和性が高そうですね。
エンタメ業界のテクノロジー カオスマップ(リンク元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000229.000015650.html)
まとめ
生活の中でデータがどのように使われているのか?という一例で、今回はエンタメ業界でのデータ活用について調べてみました。
身近なデータ活用の事例を、今後も発信していきます。ではまた!