サードパーティデータとファーストパーティデータを掛け合わせた新たなデータ活用の可能性とは?ハイブリッドCookie時代突入!
はじめに
2022年の個人情報保護法の改正や2023年の電気通信事業法に続き、Chrome の3rd Party Cookieの利用の方針による変更によりデータ活用に関する大きな変化は数年ぶりの安定状態になっています。
本記事では、改めてサードパーティデータ・ファーストパーティデータを掛け合わせた新たなデータ活用の可能性について探ります。
1.データの定義の話
世の中ではデータ収集をするためのテクノロジーとしての「3rd Party Cookieと1st Party Cookie」と企業にとって誰が保持しているデータであるかを示している「ファーストパーティデータ、」などが混同されて理解されているケースが多いので
今回の記事では
・3rd Party Cookieを使って収集したサードパーティデータ
・代替IDソリューションを使って収集したサードパーティデータ
・1st Party Cookieや会員IDを使って収集したファーストパーティデータ
・メールアドレスや電話番号の個人情報を使って外部のデータベンダーが保持してるデータと突合して収集するサードパーティデータ(よくセカンドパーティデータと言われているデータ)
・3rd Party Cookieを使って収集したファーストパーティデータ
などがあるのですがわかりづらい部分多いのでここからは収集に使う仕組みはさておき、ファーストパーティデータ、サードパーティデータという表現をさせていただいます。
2. データ活用の新たな可能性
2.1 ファーストパーティデータ×サードパーティデータ
サードパーティデータとファーストパーティデータを組み合わせたハイブリッドアプローチが注目されています。このアプローチでは、利用可能なサードパーティデータを最大限に活用しつつ、ファーストパーティデータとの連携を強化することで、より顧客の解像度を上げた精度の高いマーケティング施策やユーザーインターフェイス、顧客アプローチを実現します。
2.2 機械学習モデルを用いた属性付与
サードパーティデータのカバー率が限定的な状況下でも、機械学習モデルを用いることで、少量のデータから全体の傾向を推測することが可能です。例えば、3rd Party Cookieが使えるブラウザの割合がへり、8%程度になったとして、このデータをサンプルデータとして、残りの92%のユーザー属性をファーストパーティデータから予測し、サイトのユーザー分析や顧客理解に活用することができます。
2.3 クロステック領域での活用
個人情報保護法の改正や電気通信事業法、3rd Party Cookieの規制の撤廃などデータ活用に関わるルールや規制の変化がひと段落ついたことによりマーケティング領域以外でのデータ活用のニーズが高まりつつあります。
2.4 生成AIを活用したデータ加工の高速化
こちらも以前と変化している点でサードパーティデータやファーストパーティデータの加工や活用のための分析が生成AIを使うことにより飛躍的に省力で行うことができるようになりました。この変化も新しいデータ活用という意味では欠かせない内容です。
3. データ活用における課題と対策
3.1 プライバシー保護とデータ活用のバランス
ユーザーのプライバシー保護と効果的なデータ活用のバランスを取ることが重要です。適切な同意取得プロセスの構築や、データの匿名化・集計化などの技術的対策を講じることで、ユーザーの信頼を確保しつつ、有効なデータ活用を実現することができます。
3.2 法規制への対応
個人情報保護法やGDPRなどの法規制に準拠したデータ活用が求められます。特に、個人関連情報と個人情報の紐づけに関しては、2022年に改正された個人情報保護法によってルールが厳格に定められ、適切な同意取得と管理プロセスの構築が必要です。
3.3 社内の理解促進と体制構築
データ活用の重要性と方法論について、経営層を含む社内の理解を促進することが重要です。また、データ分析やマーケティング、法務など、異なる専門性を持つ部門が連携して取り組む体制を構築することが求められます。
4. 具体的な活用事例
4.1 HR Tech領域での活用
採用活動におけるマーケティング活動やデータ活用の可能性が広がっています。例えば、就職活動中の学生のウェブサイト閲覧履歴や説明会参加状況などのデータを分析することで、個々の学生の志望度や興味関心を把握し、より効果的なアプローチを行うことができます。
具体的には以下のような活用方法が考えられます:
説明会参加後のウェブサイト閲覧行動から、学生の興味度合いを推測
オンライン面接の参加状況と、その前後のウェブサイト閲覧行動の分析
採用サイトの閲覧パターンから、学生の特性や志望度を予測
これらのデータを適切に活用することで、ミスマッチを減らし、より効果的な採用活動を展開することが可能となります。
4.2 B2Bマーケティングでの活用
B2B企業においても、ウェブサイトの閲覧データ(インテントデータ)やコンテンツの消費傾向を分析することで、見込み顧客の特定や営業活動の効率化が可能となります。
例えば:
企業のウェブサイト閲覧履歴から、製品やサービスへの興味度を推測
コンテンツの消費傾向から、購買検討段階を推定
競合他社の製品ページの閲覧状況から、商談の機会を特定
これらの情報を基に、タイミングを逃さず適切なアプローチを行うことで、営業活動の成功率を高めることができます。
おわりに
サードパーティデータとファーストパーティデータを掛け合わせたデータ活用は、技術的な課題やプライバシー保護の観点から複雑化していますが、同時に新たな可能性も広がっています。企業は、変化する環境に適応しつつ、ユーザーの信頼を確保しながら効果的なデータ活用を進めていくことが求められます。
今後は、テクノロジーの進化や法規制の変更にも柔軟に対応しながら、継続的にデータ活用戦略を見直し、改善していくことが重要です。企業がこの変化をチャンスと捉え、創造的なアプローチを模索することで、より効果的かつ持続可能なデータ活用戦略を構築することができるはずです。