AIを活用して簡単に小説が書ける!【AI×文学】
今年の2月18日、「理系文学」を土俵に開催されている星新一賞で、AIを使って執筆した小説が入選しました。
その賞の応募総数は2603編あり、そのうち114編がAIを利用して作られた作品だったそう。
文学という領域において、AIは一体どこまで進化しているのでしょうか?
そこで今回は、文章を書く際のAI活用についてまとめてみました。
AIによる作品の応募を認めている「星新一賞」
生涯で1000以上もの作品を生みだした星新一さん。
その中には、製薬会社創業者の長男に生まれ、東京大学農学部を卒業した経歴を持つ彼ならではの理系的な発想力によってつくられた物語が数多くあります。
そんな彼の背景から、星新一賞は応募規定で「人間以外(人工知能など)の応募作品も受け付けます」と、AIによる作品の応募を認めている文学賞なのです。
今年の夏、NHKで短編ドラマが放送されていたそう。有料ですがNHKオンデマンドで見られるので、気になる方は見てみてください。
AIが書いた小説
実際にAIを活用して書かれた小説は、どのようなものがあるのでしょうか。
星新一賞が始まり間もない2016年に応募された作品を一つご紹介します。
人狼知能小説生成システム
2013年から始まった星新一賞の3回目、公立はこだて未来大学の松原仁教授率いるAI小説チーム「きまぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ」から応募された作品です。
2012年にスタートしたプロジェクトですが、わずか3年で賞に応募するまでに至ったそう。
プロジェクトスタートのきっかけになったのは、星新一さんのご息女から言われた「もし父が今も生きていたら、コンピューターに小説を書かせる物語で、ショートショート(星新一作品の短編ドラマ)をつくるはず。AIで小説を書いてみては」という提案だったとか。
そのため、プロジェクト名も、星さんの名作『きまぐれロボット』『殺し屋ですのよ』から付けているそう。
小説の内容は、人狼ゲームをAI化する技術を競う中で、人狼ゲームの登場人物が段々と意志を持っていくというストーリー。気になる方は上記リンクから読めるので、是非読んでみてください。
AIで小説を書く仕組みと方法
実際にAIは、どのようにして小説を書いているのでしょうか?
上記ご紹介した小説を応募した松原教授のプロジェクトでは、1000を超える星作品をデータベース化し、主人公の名前や設定、展開などをインプット。それを機械学習でAIがさまざまな組み合わせを作り、文章化し小説としてアウトプットしていくという流れだそう。
物語の大きな展開(序盤の状況説明や終盤にオチをつくるなど)は人間が与え、それに沿ってAIが創作する形です。
小説を書けるAIソフト
実際AIで小説を書いてみたい!という方に、AIソフトをご紹介。
フルコト
フルコトは、脚本家の物語の作り方の手法を学習したAI。
日本の脚本を作るフレームワークである起承転結の考えをAIに学習させている点が特徴だそう。
Dramatica
Dramaticaは日本語非対応ですが、映画の脚本にも使われるほどの機能を持っている点が特徴。ハリウッドのシナリオにも使われているとか。
AIのべりすと
AIのべりすとは、最初に数行の文章を入力するとその後の展開を自動で生成してくれる、文章作成AIツール。冒頭で紹介した星新一賞の入選作品は、このソフトを使って創作されました。
設定によって文体を変えることが可能であり、会話文を入れることも可能。
さらにキャラクター設定をAIに任せることができるため、自分では思いつかなかったようなアイデアを取り入れることができます。
ご興味がある方は、誰でもすぐに無料で小説を書けるので是非お試しください。
AI活用の可能性
将来的にはコンピューターが発想・文章構成・文章作成など、すべての工程を100%行えるようになるのでしょうか?
それは、現段階ではロボットが意志を持たない限り不可能といわれています。
人が小説を書く時には、何かしらの動機・意志が必要。
他領域でのAI活用同様、人間がいかにその特徴を上手く活用するかが重要ですね。
AIを活用し創作された作品が評価を得るためには、その価値を多くの人に知ってもらうことも大切だと思います。星新一賞のような文学賞が今後多く出てくることを期待。
まだ想像できない未来に向けて、柔軟な想像力を持ち今後の展開をポジティブに捉えたいですね。
まとめ
生活の中でデータがどのように使われているのか?という一例で、今回は文学とデータ活用について調べてみました。
身近なデータ活用の事例を、今後も発信していきます。ではまた!