データ時代の天気との付き合い方~気象データ活用術~【データ×天気】
災害から人々の暮らしを守るために生まれた天気予報。
現在地と連動した雨雲レーダーは、天気が変わりやすい時期に重宝しますよね。
そんないわゆる気象データ、今は精度の高い情報が得られるようになり、さらに別のデータと組み合わせることで、天気予報だけではなく様々なビジネスでの活用が広がっています。
今回は、そんな気象データの活用についてまとめてみました。
天気予報のはじまりは?
古くから人は、農作物の収穫量・安全な航海・戦など、多くのことを天気に左右されてきました。
天気の状況を判断すること、および判断する人を日本では「日和見」と呼び、主に船乗りや漁師が担っていたとか。
見晴らしのよい日和山といわれる山に立ち、風や雲や潮を読み、航海に安全な天気・天候か否かの判断を下していました。
(ちなみに、若者言葉?の「ひよってる」は、この日和見から来ているとか。状況を傍観する→怖じ気づいている→ひよってる)
そこから東京気象台ができたことで、一気に近代化。
東京気象台の第一号は、赤坂に造られたそう。(気象庁の前身)そして明治8年(1875)6月1日に地震観測、6月5日には1日3回の気象観測が開始。
当初気象台は、悪天候が予想される時に暴風警報を発表するだけでしたが、気象台は何もしていないのではないかという非難の声が上がったことにより、天気予報も出すようになったとか。
そして翌明治17年(1884)6月1日、ついに天気予報が開始。
記念すべき最初の天気予報文は、「全国一般風ノ向キハ定リナシ天気ハ変リ易シ但シ雨天勝チ」だったそう。(カタカナヨミヅライ)
たった一文である天気予報は、東京の交番に張り出されました。
そこから大正13年(1924)8月21日、天気図が初めて国民新聞に掲載され、さらに翌年には東京放送局(現在のNHK)で、初めてのラジオによる天気予報が放送されました。
昭和28年(1953)2月1日にはテレビによる放送が開始し、さらに翌年には東京で自動応答式電話の天気予報サービスが始まりました。
(ちなみに今も177にかけると無料で聞けます)
天気予報を発展させた、観測データ
天気予報を大きく変えたのは、数値予報の導入でした。
数値予報とは、観測データをもとに、コンピュータを使って未来の大気状態の変化を予測すること。ここから天気予報にデータが活用されるように。
昭和34年(1959)3月、気象庁に当時の世界最先端の大型電子計算機(コンピュータ)が設置され、数値予報の業務化が開始。当初、数値予報の予測精度は充分ではありませんでしたが、次第に精度も上がり、現在では予報業務の中核を担っているそう。
昭和49年(1974)11月には、地域気象観測システム(アメダス)の運用が開始。昭和52年(1977)7月には、日本で初めての静止気象衛星「ひまわり」がアメリカのケネディ宇宙センターから打ち上げられました。
ひまわりの登場により、地球にいながらにして宇宙から雲の動きや様子が観察できるようになり、予報の精度はさらに向上していきました。
どうやって観測しているの?
気象庁で行っている観測には、主に下記があります。
・地上気象観測
地上付近の気圧、気温、風向・風速、降水量、雲、視程等を観測。また、全国約1,300カ所に設置されているアメダスでは降水量、風向・風速、気温、日照時間を観測しています。
・気象レーダー観測
アンテナから発射した電波のうち、雨粒や雪片に反射してくる電波を受信することにより、降水の強さや降水域の広がりなどをリアルタイムに把握するもの。
・高層気象観測
上空の大気の状態を知るために観測機器を気球に吊して飛揚させ、高度約30kmまでの気圧、気温、湿度、風向・風速を観測するもの。
・気象衛星
赤道上空36,000kmにあり、雲の分布や雲の高さ、上空の風の状況、海面の水温の分布などを観測。特に観測データが乏しい洋上における台風や低気圧などの動きをつかむための重要な手段になっているそう。
気象データの活用方法
気象は、農作物やエネルギーの生産はもちろん、私たちの行動等様々な分野に影響を与えます。 ただ、まだまだ気象データの分析を経営に活かしている企業はごくわずかだそう。
各産業の気象データ活用方法についてまとめてみました。
・物流
過去の出荷・入荷実績情報と気象情報を組み合わせ、倉庫内作業における人員数を予測。要員の適性業務へのアサインに活用している会社も。また、飲料の自動販売機への配送・補充に気象データを活用することで、販売機会ロスを削減。
(そういえば、急に寒くなってきた日に、自販機でホットない!となった記憶あります)
・交通
ドライブレコーダーで録画した情報から、気象データとヒヤリハット地点データを組み合わせ、事故が発生しやすい場所、気象条件と関連付けた上で事前に注意喚起を実施。
・建設
工事中の出水を事前に予測。工事関係者に危険性を周知することで、安全面の確保と効率化を実現。
・アパレル
その日の気象状況から体感温度を予測し、最適なコーディネートを提案。
また、気象状況が人の購買行動にむけて影響を与えるという背景から、気象データと売上データを掛け合わせた生産管理を実施。過剰在庫や在庫切れをおこすことなく、在庫を適正化。
(確かに夏日にコートを売っていても、欲しくならないですよね)
・小売・飲食
気象データと来店客の属性等の自社データと掛け合わせ、来店客数・メニュー毎の販売数を予測。適切な人員配置・廃棄ロスの予測が高精度でできるように。(台風や雪の日等は特に重宝しそう)
・観光
気象に合わせ景観が映える観光地の写真をプラットフォームに掲載し、地域の観光施策を実現。また、テーマパークやホテル等において、雨や雪、気温の状況により料金を割り引くクーポンを発行する等し、需要を喚起。
上記以外にも、農業や電力等、私たちの生活に欠かせない領域においても、気象データの活用が進んでいます。
データはどこから取得できる?
昨今、気象データはその活用幅の広さから、様々な機関が情報をオープンにしています。
・気象庁
気象データは、気象庁のホームページからダウンロード可能です。
データの提供以外にも、ビジネスにおける気象データ活用のため様々な活動をしているそう。気になる方は是非見てみてください。
・Amazon
米政府機関とAWSの連携により、気象衛星「ひまわり」が収集したデータが公開されており、現在は下記よりダウンロードが可能です。
まずはダウンロードし、気象データと直近の自分の行動・自社との関連性を見てみるのはおもしろいかもしれません。
気象データを活用することで、様々な最適化ができそうですね。
まとめ
生活の中でデータがどのように使われているのか?という一例で、今回は気象データについて調べてみました。
身近なデータ活用の事例を、今後も発信していきます。ではまた!