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「データと経済」の視点から2022年を振り返る!

2022年もあと数日。経済・情報雑誌がこの1年を振り返って新年を展望する特集号を出版し、相撲の番付やランキングの形式でヒット商品・サービスを紹介しました。そうした中から「データと経済」の視点で、「2022年の振り返り」をしてみましょう!

■不安が募った1年だったが、新たな潮流も生まれた2022年

三井住友銀行系のSMBCコンサルティングは、ヒット商品番付を毎年発表しています。『2022年ヒット商品番付 新時代を模索した1年 混沌とした情勢下での挑戦』(11月24日発表)によると、「2022年はコロナ禍、世界情勢、経済事情など、将来の不安が募る1年であった」としつつ、「ビジネス界で新たな潮流が見られたほか、いろいろなコンテンツが人々を楽しませ、落ち込む心を支えてくれた年でもあった」とします。そうした新たな潮流や楽しいコンテンツは、デジタル技術とデータ活用に支えられたモノやサービスが目立っていて、その浸透ぶりが顕在化した2022年でした。

■東の横綱は「コスパ&タイパ」 『日経MJ』のヒット商品番付

その前にまず『日本経済新聞』の「日経MJヒット商品番付」の記事(電子版、有料)を見てみましょう。YouTubeで動画も公開しています(無料)

東の横綱は「コスパ&タイパ」です。動画では「費用対効果の高いPB(プライベートブランド)や大容量商品に支持集まる」として、食品スーパーの大容量商品を紹介。「時間対効果の高い低価格サービスも人気」で、ライザップのコンビニジム「chocoZAP(ちょこざっぷ)」を紹介します。記事は「あらゆる商品の値上げが続く中で、費用対効果がより重視されるようになった」と説明します。

西の横綱は「#3年ぶり」。動画は「コロナ禍で低迷した旅行需要が回復、各地で祭りやイベントが再開」のキャプションで空港や観光地のにぎわい、ゲーム展示会の様子を紹介しています。記事は「新型コロナ禍も3年目となり、耐えるだけの生活には限界がみえてきた。暮らしの満足度を保つ商品やサービスが消費者の心を捉えた」と分析します。

「タイパ」は「タイムパフォーマンス(時間対効果)」を意味する略語で、Z世代が重視すると言われています。4月発売の光文社新書『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形』 (稲田豊史著) が、タイパが重視される背景をよく説明しているのでメディアで取り上げられました。新書は「Amazonランキング」の「映画・ノンフィクション」ジャンルで12月でも堂々1位にランキングされています。

映画やドラマの「倍速視聴」は、稲田氏がWebサイト『現代ビジネス』で連載し、2022年に新書になって認知が一気に進みました。若い人がコンテンツを倍速で消費するのは「あらすじと結末を知らないと友人との会話に入っていけないから」という切ない理由でした。今ではすっかり市民権を得て、動画配信サービスに実装された「10秒飛ばし」や「1.5倍速」などの機能をフル活用した視聴が幅広い世代で行われているでしょう。

■テクノロジーの進歩に希望 SMBCコンサルティングの『2022年ヒット商品番付』

さて、最初に紹介したSMBCコンサルティングの『2022年ヒット商品番付』は、日経新聞の番付を扱えない一般紙や地方紙にとって重宝する発表です。共同通信の配信記事を読まれた方もいるかもしれません。番付の順位は、出荷台数や売上高などのデータによる実績と、マーケットに与えた意義やインパクト、今後の成長性を総合的に判断して決定しています。

※キャプチャーした番付表の写真:img_hit2022_01_edit.jpg
※キャプション:SMBCコンサルティングの『2022年ヒット商品番付』から

西の横綱は「値上げ対策・ミニマムライフ」です。ロシアのウクライナ侵攻や円安進行で物価が高騰して「生活を守ろうとしている」ことと、「多くを求めなくても満足感が得られ、心豊かに生きている」といったライフスタイルの変化を指しています。横綱に準じる“張出横綱”として「行動制限なし・水際対策緩和」があり、これは日経新聞も選んでいた「新型コロナ禍も3年目」に絡んだテーマです。

SMBCコンサルティングの番付は「ビジネス界」の視点を意識しているのが特徴です。東の大関で「メタバース・NFT・WEB 3」を3つまとめて選び、西の大関に「フードテック」、さらに東の前頭1に「人的資本経営・リスキリング」、西の前頭1で「Deep Tech」を選びました。「将来的な希望となり得る取り組み」で、「特にめざましいのが、テクノロジーに関する動き」でした。「デジタル領域では、メタバース・NFT・WEB3といった用語が、日常的に使われるようになった」と指摘します。

「メタバース」とは「3D仮想空間」のこと。「NFT(非代替性トークン)」は、「情報通信ネットワーク上にある端末同士を直接接続し、取引記録を暗号技術を用いて分散的に処理・記録する『ブロックチェーン(分散型台帳)』を活用した」ものです。「唯一無二な資産的価値を付与することで、新たな市場を生み出している。数十億円でデジタルアートが落札されるなどして脚光を浴びた」と解説します。そして「WEB 3(ウェブスリー)」は、「ブロックチェーン技術を基盤とした次世代の分散型インターネット」です。「現在の中央集権的に大手企業が管理することに対抗し、個人の情報を分散して管理できるものとして注目を集めている」と紹介しました。

■2022年は「メタバース・NFT・WEB 3」元年

NFTに絡んだ市場に企業が相次いで参入した1年でした。ただブロックチェーン技術による最初の成功例の「暗号資産(仮想通貨)」は、2022年初めに世界市場で3兆円を見据えてから大幅に下落して「暗号資産の冬」とも言われました。投機商品との懐疑的な見方もくすぶる中で、11月11日に大手交換所「FTXトレーディング」が米連邦破産法11条(チャプター11)の適用を申請して経営破綻し、暗号資産は混乱が続いています。

NFTは「唯一無二な価値」がアート分野で親和性が高く、クリエイターが作品を売っておしまいではなく、NFTの発行元と購入者がつながって制作プロジェクトを資金支援する活用が模索されました。ただ、NFTアートの投機的なブームが一巡すると価格が下落。「7~9月の平均価格はピーク時の1~3月から9割近く下落」と報道されました(日経電子版11月5日、有料記事)。

この記事は、「購入者が資金の使い方に投票できるほか、プロジェクトの成功でNFTが値上がりするなど証券に近い性質があるものもある」として、NFTが「証券」に該当するかどうかを指摘します。「証券に該当すればインサイダー取引などが禁止され投資家保護の利点ある一方、発行側は資金調達のハードルが上がり、個人がプロジェクトを立ち上げて資金集めることが難しくなる」とした上で、「規制の枠組み作りが遅れており、証券性の問題に加え、所有権など法的な位置づけの議論はこれからだ」と課題を挙げています。2023年はこうした議論が進むでしょう。

産学官の知恵を結集する「デジタル政策フォーラム」の顧問、谷脇康彦氏(IIJ副社長)は、Webサイト「デジタル制作フォーラム」に掲載したコラム(11月18日)で「現状においてWeb3の可能性については議論が二分されている」と指摘します。web2.0提唱者のTim O’Reily(ティム・オライリー)氏の見解「Web3の理想主義は好ましいものの理想が現実に結びついておらず、現状では先ずWeb3のビジョンのパーツに集中する時期だ」を紹介。「ブロックチェーン技術を使ったWeb3型の個別の事業モデルの開発に注力すべき段階にある」とします。2023年もその動向に目が離せません。

■フードテック、Deep Tech、人的資本経営、リスキリング

SMBCコンサルティングの番付に戻します。西の大関「フードテック」は「ITやバイオ技術など最先端のテクノロジーを駆使して食品に新たな価値を付加する」ものです。「大豆ミートなど植物性代替肉などがよく知られ、日清食品の『完全メシ』は、長年培ってきた食品加工技術を駆使し、栄養バランスと美味しさを両立した商品として人気」と紹介します。

最先端技術で社会課題を解決する「Deep Tech」は、「人工知能や代替エネルギー、量子コンピューター」が含まれ、「人的資本経営」は「従来の人材をコストや資源とみなす経営とは違い、人材を従業員の能力や経験といった『形のない資本』と考えることで、持続的な企業価値の向上を目指そう」というものです。

そのため、「仕事で必要とされる新知識やスキルを学ぶリスキリングに力を入れる企業も増えている」と紹介しています。そうした新知識やスキルで、データを活用できる能力も意識された年だったのではないでしょうか。

■DIME、日経トレンディ、MonoMaxが選んだ「チューナーレステレビ」

情報誌『DIME』の恒例企画「2022 第35回小学館DIMEトレンド大賞」では、「IT・ビジネス部門」の金賞にメタバースの「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト『バーチャル渋谷』」を選びました。KDDI、渋谷未来デザイン、渋谷区観光協会を主体に20年から始まった区公認プラットフォームで、アーティストのライブやアート展示、トークイベントの発信しています。

「家電部門賞」の金賞には「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)」の『AndroidTV機能搭載 チューナーレス スマートTV』を選びました。PPIHが展開する総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」がオリジナルブランドで21年12月に発売。「YouTube」や「Netflix」などの動画配信サービスの視聴に特化して、テレビチューナーをあえて外したテレビです。累計販売台数は2万台を超え、22年8月には「4Kモデル」を追加しました(12月15日発表)。

『日経トレンディ』は、2022年12月号の「2022ヒット商品ベスト30」で「完全メシ」を5位に選びました。SMBCコンサルティングが西の大関「フードテック」で取り上げたカップライス『日清カレーメシ』の完全メシ版『カレーメシ 欧風カレー』です。また、22位には「チューナーレステレビ」を選び、「リアルタイム視聴不要派に大人気。動画配信の波に乗り数万台市場に」と紹介しました。『MonoMax』の「2022年ヒット総ざらい」も家電量販店のエディオンと中国の家電メーカー、TCLが共同開発した「チューナーレステレビ」を取り上げています。

11月20日から12月18日に開催されたサッカーW杯の全試合を中継したインターネットテレビサービスの「ABEMA」が、「数字で振り返る『ABEMA』の『FIFA ワールドカップ カタール 2022』」としてデータを公表しました。「デバイス別視聴の割合は、スマートフォンが43%と多数を占めるなか、大画面のテレビ視聴が24%と伸長」とあり、ネット接続したテレビ端末のコネクテッドテレビ(CTV)の普及がうかがえます。こうした背景からチューナーのないテレビ需要を見込んだ商品はエポックメーキングでした。広告・マーケティングの動画広告でCTVの存在感が高まっています。

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<参考雑誌>
※DIME 2023年 2・3月号

※日経トレンディ 2022年12月号

※MonoMax 2023年 1月号



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